ははうえさまー いっきゅーー

ある日、夫とひさびさに山に行こうということになった。バスで2時間くらいの距離にあるそこには彼の父親がかつて住んでいた古い小屋があって、私たちはたまにそこに行っては、ただずるずるしたり、そこの集落の人たちと一軒しかないバーで飲んだりビリヤードをやったりしてすごすのだ。
その日もみんなでバーでだらだら飲んでいた。すると突然、3〜4人組の強盗が入ってきた。それからはあっという間の出来事で、気がつけば夫もほかのひとも血まみれで倒れている。やばいどうしようと思ったとき強盗のひとりと目が合い、彼はにやにやしながら近づいてきて、持っていたナイフで私の首を刺した。
目が覚めると血まみれの夫が私の顔をのぞきこんでいた。何か言っているがよく聞こえない。よく見ると救急車のなかで、救急隊員がばたばたと動いている。私はあごを首に押し付けて血を止めようとしたが、それでもだんだん意識が薄れてきて、あぁもしかして私ってば死ぬのかなぁと思っていたとき、私の体の何かを測っていた機器のアラームが鳴った。うぁー死んでゆくー。
アラームは目覚まし時計だった。そこで目がさめた。夢の中で止血しようとしていたため、起きたときはあごをジュリーみたいにひいていた。まじ映画のような夢だった。怖かったなぁー!とにやにやしながらタバコをすった。
こんな夢を見たのはなんでか考えてみると、わかった。あれだ。寝る直前にHustle and Flowという映画を観て、それでなんかバーで殴ったりとか撃ったりとかそういうシーンがあって、きっとそれからだ。 ところで映画はわりと面白かった。ピンプで食いつなぐ妊娠した妻をもつ男がラップに目覚め、仲間と曲を作って有名になろうとする話。彼のまわりの売春婦、友達とその妻、それぞれの気持ちが切なくて、でもそれでもなんとか前向きにやっていこうとするところが押し付けがましくなく描かれていて、これは心底ヘコんでいるときに観るといいかもしれない。Djayの奥さんが特によかった。歌を歌ったとき、自分の歌を聞いたときのあの瞬間。