133日目

コーヒーショップについて。
どうして私がそれについてあまりここに書かなかったかっていうと、別にきらいじゃないが、ビールとそれとどっちがいいかと言われたら迷わずビールを選ぶくらいな程度の好きさなので、なんかそれが目的でここに来てるみたいに思われたら困るなぁっていうのがいちばん大きいかもしれない。「オレってハッパすげぇ好きじゃん?オレってちょっと悪いじゃん?東京生まれヒップホップ育ち?」みたいなノリがどうもだめで、まるでそれがステイタスみたいに言ってるのを見たりすると、私はソフトドラッグはお酒やタバコと同じ嗜好品だとおもっているので、いや別にそんなに言うほどのものでもないんじゃないかと、ちょっとひいてしまったり。オランダに行くということをまわりに話したときも「吸いにいくの?」とか言われるたびに「のぉーーーーー」と天才クイズの博士のように心のなかで叫んでいた。いや、でも、きらいじゃないけどね。
ご存知のようにオランダではソフトドラッグは合法だ。アムステルダムにはあちこちにコーヒーショップや喫煙具屋がある。
コーヒーショップのなにがおもしろいってデコレーションだ。リラックスして楽しめるように照明とかソファとか工夫されていて、店によっては壁じゅうにサイケデリックな絵が描かれていたり。そうなんだよ、それぞれの店がホント個性的でおもしろい。レゲエ風、熱帯雨林風、インド風、アメリカのダイナー風。そんなに凝ったつくりじゃないけどただふつうの友達んちみたいな、すごいアットホームなお店もいい。ちょっと入りづらい感じのとこもあるが全然入っちゃって大丈夫だ。当然みんな吸ってるわけなのでやたらフレンドリーでピースフルだから。
オランダでのコーヒーショップの存在は、私は“バーみたいなもんだ”と感じた。食べ物を出すところもあれば出さないところもある。酔ってしゃべって笑ったり、ひとりでまったりしてる人もいたり。お酒を出すかウィードを出すかが違うだけ。
前におもしろいことがあった。私がPedroとコーヒーショップで盛り上がっていると、前に座ってた女性がうちらの話を聞いてげらげら笑っていたので、Pedroがさらにがーっとしゃべり、彼女も含めて3人でげらげらとしばらく笑っていた。とくにその彼女はえっらいウケていて、まるで笑い袋みたいな笑いっぷり。やっとおさまってきて涙を拭いたとおもったらまたぷーーっ!と吹き出したり。すると向こうから彼女の彼氏らしきひとが来て座ったわけだが、Pedroが彼女にしゃべっているのを見て「彼女は英語が話せないんだ」と言ったのだ。じゃぁなんで笑ってたんだ?と一瞬時が止まったが、その彼が「もう帰らなくちゃ」と彼女の手をひいて店のドアに向かって歩いていく途中も彼女はずっとげらげらげらげら笑っていたので、それを見て私はもう笑いが止まらなくなってしまった。
しかしオランダ人でも吸わないひとは吸わない。このへんもお酒やタバコと同じだ。ライブやクラブに行ってもその場で吸ってるひとは滅多にいなくて、中に入ってむわっと煙いのはほぼタバコだ。コーヒーショップ以外での公共の場では吸っちゃいけないっていう法律があるっていうのもあるとおもうが。
しかし道を歩いているときにガラス張りのコーヒーショップの中をふと見ると、でろーんと固まってるひとがいたり、にやにやしてるひとがいたり、それを見るだけでこっちも楽しくなるからいい。そういえばまだ仕事してたとき会社でやなことがあってしょんぼりしつつ高円寺につくと、駅前の大将で老いも若きもいろんなひとが酔っぱらって笑ったりしてて、そういうのを見るとなんだか私も楽しくなって来たりしたなぁと今思い出した。