206日目

チェコから帰ったぜ。
プラハは美しく、そして暗い街だった。
暗いっていうのは明かりが暗いのと雰囲気が暗いのと両方だ。空港からしてもう暗い。レストランもお店も、街並も暗かった。お店なんて、開いてるんだかどうだかわからんほどの暗さ。そしていくつかのレストランのトイレの明かりはなぜか青い光(ブラックライトみたいなやつ)。電気代がすごく高いのかもしれない。
チェコ人はあまり愛想がよくなかった。基本的にスマイルなし。返事もなし。たとえばCD屋さんで試聴しようとCDを持っていってたずねると、無言でヘッドフォンを渡されて無言で再生。あんまりよくなかったので買わないことにして、「デュクユ」(チェコ語でありがとう)とにこっとして言ったが無言で片付けていった。チェコ語のロックが聴いてみたかったので店員さんに尋ねようとおもっていたが、あまりに声をかけづらくて断念。 たとえばレストランで何か注文すると無言で紙にメモをとりそのままむこうへ。しばらくして料理が来るときも無言でおいていく。 あるとき、超のどからからな状態でビールを頼み、来て速攻ぐあーっと飲み、あーウマいと一息つくと口の中になにか入っていることに気がついた。ん?と出してみるとガラスの破片。そしてビールのグラスをよく見てみるとダイナミックに割れている。ビールもそこから漏れている。そして私のくちびるは切れている。まじっすかーとウェイトレスさんを呼び、でもそんなミスは仕方ないから、できるだけ丁寧に説明し、交換してくれないっすかねぇと言うと、無言でグラスを持っていき、無言で新しいビールをがん!と置いた。ぼくちんビックリ。
プラハ城はすごくきれいだった。巨大な教会にはそりゃもう見事なステンドグラスがたくさんあって感動。お城の敷地内にある、かつて召使いが住んでいたという小さな家々があるエリアは、ザ・チェコっていうかんじですごくかわいらしかった。お城のまわりの建物たちもなかなかきれい。お城は丘の上にあるわけだが、てっぺんからプラハの街を見下ろすともうトリ肌な美しさだった。
市街にある建物は、なんていうか全部ラブホみたいだった。やたらでかくてパステルカラー。装飾はチープな感じで、昔いろいろありすぎて、建築にあまりお金をかけれなかったんじゃないかと勝手に想像。しかし今はあちこちで工事をしていた。きれいにしている途中なのかもしれない。
泊まったホステルはすごくよかった。初日、なんの予約もせずに行くと、狙っていたホステルはイースター休暇だからか満杯。まぁどっかみつかるだろと地図に載っているホステルを「なんだ私は、猿岩石か」とつぶやきつつ端からまわったがどこもかしこも満杯。さすがに猿岩石じゃない私は野宿はできないので、あきらめてちょっと高めのアパートメントタイプの宿泊所(1泊40EUROくらい)に泊まった。そこは日本のカラオケボックスみたいな作りで、個室にはキッチンとシャワーとトイレつき。テレビをつけてみると映画のスパイダーマンチェコ語の吹き替えでやっていて、ちょっと笑えた。 2日目以降は朝から電話してHostel Elf http://www.hostelelf.cz/ にベッドをキープすることができた。ここはすごくユルくてリラックス。朝ご飯はなんとサンドイッチ!すばらしい。コーヒーと紅茶はフリーだ。冷蔵庫にはビールが冷えていて、激安。 もちろんドミトリーに泊まったわけだが、すごくおもしろかったのが、近くのベッドに寝ていたアメリカ人の女の子が「ハ〜〜〜〜ゥ・・・」とかいって寝言をいって、おぉ、やっぱガイジンは寝言も巻き舌なのだねぇうへへへへ、とナルホドな感じでにんまりしてしまった。あとおもしろかったのは、酔っぱらってたオーストラリア人。彼はプロスケーターだとか言っていたがホントかどうかはあやしい。まじで超酔っぱらっていて、背中にでっかく入っていた和彫りの入れ墨を見せてくれたが、「これを入れてくれた日本人はヤクザだった。だからおれもヤクザになってしまった。おれはだれも殺したくないいいい」と本気で泣き出して、かとおもったら「これからナイトクラブに行くけど一緒にいかない?」と言った。行かねぇよ。
美術館はあまりなかったが、ムハ(Muchaミュシャ)の美術館と、昔の風刺画みたいなのの美術館に行った。ムハはあんまりだったが、リトグラフの過程とかも展示してあったのですごく好きなひとにはいいかもしれない。なんか桂正和とか思い出した。 風刺画みたいなののほうはものすごい数を展示してあったが、どれもすごくシニカルで、でも絵はかわいらしくて、すごく興味深かった。
あと気付いたこといくつか:

  • マックとピザ屋が異常に多い。朝マックを食べてみたら、エッグマックマフィンにハムが入ってなくて、ただの目玉焼きサンドでおもしろかった。
  • エスカレーターが笑えるほど速い。まじで速い。
  • 期待していたビールは普通だった。ほとんどがピルスナーで味に特徴はあまりない。しかし安くてでかい。基本のサイズが500のびんで、EUROにすると50セントくらい。いっぱい飲んだがなぜかあまり酔わなかった。
  • チェコ料理はあまりおいしくはなかった。しかしこれも大量。そして病気になりそうなしょっぱさ。あと、どのメニューにもグラム表示がしてあっておもしろかった。お肉だけじゃなく、スープにも前菜にもすべて何グラムって書いてある。
  • トイレに鍵がないところが多い。足で押さえて、よたりながらトイレした。
  • 木のおもちゃが有名みたいだ。どれもかわいかった。ちょっとブサイクなマリオネットがほしかったが、節約のためにがまんした。

ぜひともまた行きたいとは思わないが、20年後くらいに街の変わりっぷりを見てみたいなとはおもった。