ジュース

この週末はウエスオークランドに住む友達の家で遊んだ。全米屈指の危険地帯オークランドのなかでも特に危ないと言われるウエスオークランドは私も前まで住んでいたが、実感としてはそんなにみんなが言うほどでもないというか、まあ夜のひとり歩きはちょっと怖かったくらい。それより何よりオモシロい人がいっぱいいて、私の好きなところのひとつだ。
フワフワに酔った友達3人と犬2匹でだらだらとくだらないことをしゃべってへらへら笑っていると、玄関のドアを誰かがコンコンとノック。時間は夜中の3時半。みんなで一瞬目を合わせると男子2名がドアを開けた。開けたといっても二重ドアになっているうちの内側のドアだけ。外側のは鉄でできた頑丈な網戸のようなドアなのでとりあえず安全。するとそこには小さいおじいちゃんが。「なんだラリーか」と友達のひとりが言うと玄関に入れた。後から聞いたところによるとこのラリーというホームレスの男はその家の近くにいつもいて、よくしゃべったり食べ物を少しあげたりする仲だという。こんな時間にどうしたんだと聞くとラリーは「あんたに見せたいものがあって・・・」と言うとジャケットやジーンズのポケットをごそごそ探し始め、「あれ・・・おかしいな、くそっ」とつぶやきながらそれでもごそごそ続けること15分。途中友達がこんな時間だし明日にしようと何度も声をかけるもちょっと待ってくれとやめず、靴の中まで調べたりしていたが、やっとあきらめたかと思うとこう言った。
「ジュースくれないか?」
ズコーッ!うちら爆笑。夜中の3時半に15分間玄関でごそごそしたかと思ったら最後にジュース。腹をかかえながらレモネードをあげるとラリーは帰っていった。もうそれからうちらは彼は実は宇宙人なんじゃないかとかモノマネしたりとか、しばらくの間ラリーネタでもりあがり、明るくなってきたのでごろんと寝た。だめなオトナになってよかったと思った。